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2026年8月のレインズ分析売出価格と成約価格に異なる動き

売りに出ている価格だけでは見えない市場を読む

売却を考えて周辺の売出物件を調べると、高い価格が目に入る。一方で、実際に成約している市場はどう動いているのでしょうか。レインズ月次分析の初回は、売出中の物件と成約した物件の数字を分けて読みます。

対象は2026年8月の住宅・土地市場

資料公表日は2026年9月10日。中心となる中古マンションの数字は区分住戸の統計で、一棟アパート・一棟マンションの成約統計ではありません。一棟の売主が周辺市場を理解する参考として解説します。

MONTHLY FINDINGS

今月の結論

01 成約と在庫成約は減少
在庫は増加

中古マンションの成約件数は前年同月比−10.5%。在庫件数は+8.2%。

02 価格の違い成約と売出中で
異なる方向

成約平均価格は−2.8%。在庫平均価格は+29.0%。

03 市場の違い戸建と地域も
分けて確認

中古戸建の成約件数は+1.9%。住宅市場全体が同じ動きではありません。

一棟ラボの見方:売出中の価格だけを相場の根拠にせず、成約の動きも確認したい局面です。ただし、この数字だけで一棟物件の値下げや売り急ぎを決めることはできません。

MONTHLY SCORECARD

同じ指標で毎月比べる

まず当月と前年同月を確認し、前月との違いを補足します。件数の前月比は掲載実数から一棟ラボが計算した参考値です。季節変動を含むため、単月の増減だけで判断しません。

首都圏中古マンション/資料 p.2・4
指標2026年8月2025年8月前年同月比2026年7月前月比
成約件数3,180件3,553件-10.5%3,638件-12.6%
成約㎡単価81.60万円/㎡84.85万円/㎡-3.8%84.17万円/㎡-3.1%
成約平均価格5,129万円5,279万円-2.8%5,267万円-2.6%
在庫件数48,235件44,578件+8.2%47,151件+2.3%
在庫平均価格6,939万円5,377万円+29.0%6,866万円+1.1%
中古戸建の定点比較を見る
首都圏中古戸建/資料 p.20・22
指標2026年8月2025年8月前年同月比2026年7月前月比
成約件数1,641件1,611件+1.9%1,738件-5.6%
成約平均価格3,960万円3,894万円+1.7%3,933万円+0.7%
在庫件数23,277件23,567件-1.2%23,197件+0.3%

CONTINUING THE STORY

初回は13か月を振り返る

この連載では、前号の注目点が翌月どう変わったかを追います。今回は初回なので、2025年8月からの推移を基準にします。

中古マンションの成約件数単位:件
03,0006,0002025/082025/122026/042026/08

成約は各月に報告された件数/出典:首都圏詳細版 p.2

中古マンションの平均価格単位:万円 成約と在庫は別の物件群
04,0008,0002025/082025/122026/042026/08

実線:成約平均価格 破線:在庫平均価格/出典:首都圏詳細版 p.2・4

中古マンションの成約件数は、前年同月比で4月−1.2%、5月−3.4%、6月−1.3%、7月−8.6%、8月−10.5%。5か月続けて前年同月を下回りました。在庫件数は3月から前年同月を上回り、7月+5.5%から8月+8.2%へ増加率が拡大しています。

「8月は7月より少なかった」だけではなく、前年同月を下回る動きが続いている点を確認します。なお、2025年1月以降のシステム改修が成約件数に影響している可能性があると資料に注記されています。

13か月の数値を表で確認する
首都圏中古マンション/資料 p.2・4
対象月成約件数前年比在庫件数前年比成約平均価格在庫平均価格
2025-083,553+54.5%44,578-1.4%5,279万円5,377万円
2025-094,475+46.9%43,850-3.4%5,352万円5,470万円
2025-104,222+36.5%43,669-4.8%5,325万円5,637万円
2025-114,435+38.3%43,156-5.5%5,204万円5,807万円
2025-123,975+25.9%43,381-3.6%5,340万円5,947万円
2026-013,343+3.1%44,776-1.5%5,493万円6,107万円
2026-024,241+2.1%45,112-0.2%5,458万円6,168万円
2026-035,001+0.2%44,728+1.8%5,521万円6,354万円
2026-043,903-1.2%45,215+2.7%5,321万円6,539万円
2026-053,709-3.4%45,804+3.4%5,067万円6,643万円
2026-064,241-1.3%45,995+3.5%5,208万円6,745万円
2026-073,638-8.6%47,151+5.5%5,267万円6,866万円
2026-083,180-10.5%48,235+8.2%5,129万円6,939万円

THIS MONTH'S FOCUS

価格差はそのまま値引き幅ではない

8月の在庫平均価格は6,939万円、成約平均価格は5,129万円。売出中の物件を眺めた印象と、成約の平均には違いがあります。ここで「平均1,810万円の値引き」と考えるのは誤りです。

比較している物件が違う

在庫は月末に登録されている物件、成約はその月に成約報告された物件です。同じ物件の売出時と成約時を追跡した数字ではありません。価格帯・所在地・広さ・築年数の構成も異なります。

成約物件の平均築年数も、前年8月の26.28年から28.29年へ変わっています。平均成約価格の下落には、成約した物件の構成変化が影響し得ます。資料だけで、その影響を金額に分解することはできません。

売主が確認したいのは「高い売出事例があるか」だけではなく、「条件が近い物件がどの価格で成約しているか」。在庫の高値が、自分の物件の成約可能価格を保証するわけではありません。

MARKETS ARE DIFFERENT

住宅種別と地域を分ける

中古戸建は成約件数1,641件で前年同月比+1.9%、平均成約価格3,960万円で+1.7%、在庫件数は−1.2%です。中古マンションとは方向が異なります。「不動産全体が下がっている」とまとめないことが大切です。

中古マンションの地域差/サマリー本文 p.3
地域成約件数件数の前年比㎡単価の前年比
東京23区1,265件−20.6%−0.3%
多摩297件−9.5%+9.1%
埼玉県412件+5.4%+2.0%
千葉県398件+0.3%+5.1%
横浜・川崎市581件−2.2%−0.5%
神奈川県他227件−9.2%+9.0%

東京23区では件数の減少が大きい一方、㎡単価はほぼ横ばいです。多摩では件数が減っても㎡単価は上昇しました。買主が東京から周辺県へ移動したかどうかは、この表だけでは分かりません。

土地の動きも確認する

首都圏の100〜200㎡の土地は成約706件(前年同月比−3.3%)、成約㎡単価29.04万円(+2.9%)、新規登録㎡単価33.34万円(+17.2%)でした。対象面積が限られるため、大規模な一棟用地へそのまま当てはめられません。出典:首都圏詳細版 p.50・51。

SELLER ACTION

自分の一棟で確認する

  1. 01売出事例と成約事例を分ける
    所在地・築年・規模・稼働状況が近い一棟の事例で比較します。住宅統計の平均値を査定額に置き換えません。
  2. 02価格の前提をそろえる
    年間収入、空室、修繕予定、買主の融資条件など、事例ごとの違いを担当者と確認します。
  3. 03販売中なら反応を記録する
    問い合わせ、資料請求、内見、購入条件の提示を時系列で残します。市場の数字と自分の物件の反応を照らし合わせます。

このレポートだけを理由に値下げする必要はありません。反対に、売出中の高値だけを理由に価格を据え置く判断にも注意が必要です。まず比較の根拠をそろえましょう。

一棟の査定価格の考え方を読む ↗

NEXT MONTH

次号で追う3つの数字

  • 成約件数の減少は続くか8月は前年同月比−10.5%。9月の前年同月比で減少幅が広がるか、縮まるかを確認します。
  • 在庫の増加は続くか8月は48,235件、前年同月比+8.2%。件数と増加率を同じ定義で追います。
  • 成約と在庫の価格はどう動くか成約平均価格の前年比−2.8%と、在庫平均価格の+29.0%をそれぞれ追跡。平均築年数・面積の変化も併せて確認します。

次号は2026年9月実績の資料公表後に更新予定です。前号の注目点を再掲し、数字がどう変わったかを確認します。このページをブックマークして、月別一覧から続けてご覧ください。

FOR YOUR PROPERTY

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月別一覧と出典

データの出典と読み方

東日本不動産流通機構「Market Watch 2026年8月度」首都圏詳細版(FTS_001_003_MW_202609.pdf)p.1・2・4・20・22・50・51、サマリー(mw_202608_summary.pdf)本文p.1・3。2026年9月10日公表、9月11日確認。全国版は対象範囲・集計条件の確認に使用し、本号の首都圏の数値には混在させていません。

増減率は原則として資料掲載値。件数の前月比のみ(当月件数÷前月件数−1)×100で算出し、小数第1位に丸めています。成約は当月の報告、在庫は月末登録分で、市場全体の取引を網羅するものではありません。2025年1月以降のシステム改修の影響に留意が必要です。解釈・確認事項は一棟ラボの提案です。

東日本不動産流通機構の公式サイト ↗

更新履歴:2026年9月11日 初版作成。