一棟アパートの売却仲介と買取どちらがいい?
価格だけでなく手残りと条件で選ぶ
「少しでも高く売りたい。でも、何か月も決まらないのは困る」。一棟アパートの売却では、価格への期待と、時間や管理の負担が同時にあります。仲介と買取を選ぶときは、売却額・受け取る時期・引渡し後に残る責任を同じ条件で比べましょう。

時間を確保でき、購入希望者の反応を見ながら価格を探りたいなら仲介。期限や現状での引渡しを重視するなら買取も比較対象です。迷っている段階では、仲介の成約見込みと、買取の具体的な提示条件を両方確認して構いません。
01 / TWO WAYS
違いは不動産会社が
買主になるかどうか
仲介では、不動産会社が販売活動や条件調整を行い、売主と買主の契約を支援します。買主は個人投資家とは限らず、法人や不動産会社の場合もあります。
買取では、不動産会社自身が買主になります。ここで区別したいのが、売主が買取会社と直接取引する場合と、別の仲介会社を通じて買取会社へ売る場合です。「買主が業者」というだけで、仲介手数料が不要になるわけではありません。[1]
仲介会社が相手探しと契約を支援
買主は個人・法人・不動産会社など
買取会社と直接売買
他社の仲介が入れば仲介手数料を確認
相談時には「御社が買主になる提案ですか。それとも、別の買主を紹介する提案ですか」と確認しましょう。同じ会社から両方の提案を受ける場合も、役割を分けて見積もりを出してもらうと比較しやすくなります。
02 / COMPARE CONDITIONS
価格以外の4項目も
並べて比較する
| 比較項目 | 仲介 | 直接買取 |
|---|---|---|
| 価格 | 複数の購入希望者を探して成約価格を目指す。査定額で売れる保証はない。 | 買主の運営・再販計画や費用、リスクを反映。仲介の成約見込みより低い提示になることがある。 |
| 期間 | 相手探しに加え、買主の融資や契約条件で変わる。 | 相手探しを省けるが、調査・社内承認・資金手当て・登記等で変わる。 |
| 費用 | 合意した仲介手数料等が必要。上限額と請求額は分けて確認。 | 仲介がなければ仲介手数料は不要。他の売却費用や税金は別。 |
| 販売対応 | 広告範囲、内見方法、入居者への配慮を仲介会社と調整。 | 広く買主を募集する必要はないが、現地調査や資料提出は必要。 |
| 引渡し条件 | 修繕の分担、残置物、契約不適合責任などを買主と合意。 | 現状での引渡しや責任範囲を交渉できる場合がある。自動的な免責ではない。 |
「買取なら相場の何割」と一律に考えると、収益性や立地、修繕、買主の得意分野を見落とします。また、仲介の売出希望額と、調査済みの買取提示額では数字の確かさが違います。仲介は成約の根拠と想定期間、買取は金額の有効期限と成立条件まで揃えて比べてください。
融資を利用する買取会社もあります。融資が通らない場合の解除条件や、調査後に金額が変わる条件を確認しましょう。雨漏り・設備故障・滞納など、把握している事項は売却方法にかかわらず整理して伝えます。責任の期間・対象・免責の有効性は、当事者と契約内容によって異なります。[3]
03 / MONEY LEFT
600万円の価格差が
そのまま手残りの差ではない
次は比較方法を示すための仮定です。仲介で6,000万円、直接買取で5,400万円で売れると仮定し、売却費用を差し引きます。実際の査定や成約事例ではありません。
仲介の仮定
- 売却価格
- 6,000万円
- 仲介手数料
- −204.6万円
- その他売却費用
- −30万円
- 比較用の概算額
- 5,765.4万円
直接買取の仮定
- 売却価格
- 5,400万円
- 仲介手数料
- 0万円
- その他売却費用
- −30万円
- 比較用の概算額
- 5,370万円
この条件では差は395.4万円です。価格差がなくなるわけではありませんが、600万円という表面上の差とは異なります。
計算条件:売却価格に建物消費税を含まない仮定。仲介手数料は上限の通常計算(6,000万円×3%+6万円)×1.1=204.6万円。実際の報酬は上限の範囲内で合意します。その他費用30万円は両案を比べるための仮置きで、相場ではありません。ローン返済・繰上返済手数料・譲渡にかかる税金・保有中の収支・各種精算は含めていません。800万円以下の物件には報酬の特例があります。[2]
さらに決済までの期間が違えば、受け取る賃料と、管理費・利息・税金・修繕などの支出も変わります。「待つほど損」と決めつけず、保有中の収支も加えて検討します。ローン元本の返済は売却時の残債を減らすので、保有費用として二重に差し引かないようにしましょう。
最終的な手残りは、残債と税金まで反映して確認します。売却手残り計算ツールで確認する ↗
04 / YOUR PRIORITY
先に決めたいのは
譲れない条件
売却方法を先に固定するより、「いつまでに」「いくら以上を残したいか」「どこまで対応できるか」を整理すると、提案を選ぶ基準が明確になります。
時間をかけて
価格を探りたい
決済期限に余裕があり、保有中の収支も許容できる。
仲介を軸に比較期限や引渡しの
条件を固めたい
相続の整理、資金計画、管理負担など優先する事情がある。
買取条件も比較売るかどうかも
まだ決めていない
今の価格と手残りを知ってから判断したい。
両方の条件を確認選び方を整理する目安です。買取の可否や期限内の決済を保証する図ではありません。
まず仲介で販売し、一定の時点で買取条件を再検討する進め方もあります。ただし、後から同じ価格で買ってもらえるとは限りません。見直す時期と、その時点で比較する条件を先に決めておくことが大切です。
買取保証を利用する場合は、保証価格だけでなく、対象条件、期限、除外事項、解除条件を確認してください。「売れなければ必ず買う」という一言だけで判断しないようにしましょう。
05 / ASK BEFORE DECIDING
見積もりでは
この5つを聞く
- 誰が買主になり、相談先の会社はどの立場で関わりますか
- 金額は査定目安・売出提案・購入提示のどれですか
- 手数料や必要工事を引いた後に、いくら残りますか
- いつ決済でき、調査や融資で条件が変わることはありますか
- 雨漏り・設備・残置物などは誰がどの範囲まで対応しますか
返答は金額だけの口頭説明ではなく、価格・有効期限・費用・引渡し条件が並ぶ書面やメールで残すと比較しやすくなります。高い提示があっても、後の調査で変わる範囲が大きければ、その条件を含めて判断します。
06 / GET READY
同じ資料を渡すと
二つの提案を比べやすい
一棟物件では、表面利回りだけでなく、契約の内容や今後の支出が重要です。仲介と買取で異なる情報を渡してしまうと、金額差の理由が分かりにくくなります。
- レントロール:賃料、空室、滞納、敷金、実際の入金状況
- 修繕履歴:工事時期、内容、金額、保証、今後の予定
- 現況写真:外観、共用部、空室、気になる箇所
- 契約・建築資料:賃貸借契約、サブリース、図面、建築確認等
- 売主側の条件:希望時期、ローン残高、最低限必要な手残り
一棟ラボの無料会員ツールでは、レントロール・修繕履歴・写真台帳を作成して保存できます。資料がすべて揃っていなくても、あるものと不足しているものを分けて相談できます。
07 / QUESTIONS
よくある疑問
入居者がいても買取を相談できますか
入居中の一棟物件も検討対象になり得ます。賃貸借契約、敷金、滞納、管理委託、サブリースの条件などを確認したうえで判断されます。買取のために当然に退去が必要になるわけではありません。
修繕してから査定を受けた方がいいですか
売却目的で大きな工事をする前に、現状での条件と工事後の見込みを比較しましょう。ただし、安全確保や入居者への対応が必要な不具合は、売却判断とは別に対応を検討する必要があります。
仲介を依頼した後でも買取に変えられますか
締結済みの媒介契約や進行中の交渉状況を確認し、依頼先と調整します。自己発見取引の制限や、報酬・費用の扱いが契約によって異なるため、別の会社と話を進める前に確認しましょう。[4]
NEXT STEP
自分の一棟なら
どちらが合うかを確かめる
ユナイテッド・エステートは一棟収益不動産の仲介・買取に対応しています。売却時期や物件の状況を伺い、仲介で目指す価格と買取の検討条件を整理します。売却方法が決まっていない段階でもご相談いただけます。
仲介と買取の売却条件を相談物件や条件により、買取できない場合があります。査定は成約価格や買取を保証するものではありません。
参考資料と確認日
- SUUMO 売却ガイド「不動産買取の仕組み」 — 取引の基本的な仕組みを参照。一棟の価格差や期間を示す統計としては使用していません。
- 国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」 — 媒介契約、仲介手数料の上限と低廉な空家等の特例。
- 不動産適正取引推進機構 RETIO 137号「契約不適合責任に関する実務上の諸問題」 — 48〜55頁。
- 東日本不動産流通機構「媒介契約制度」 — 媒介契約の種類と特徴。
2026年9月28日確認。売却方法を整理する一般的な解説です。個別の価格・税額・法的責任は物件、当事者、契約内容等によって異なります。数値例は一棟ラボによる仮定計算です。