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家賃滞納がある一棟アパート売却価格はどう変わるのか

滞納額だけでは決まらない買主の評価と売却前の準備

「12戸のうち1戸で家賃が止まっている。このままでも売れるのだろうか」。家賃滞納があっても、一棟アパートの売却は検討できます。ただし、買主が見ているのは未収額だけではありません。これからの収入と対応の負担まで整理すると、価格を比べる土台ができます。

日本の住宅街に建つ二階建ての一棟アパートと手前の家賃入金台帳を描いたイラスト
契約上の家賃と実際の入金を分けて確認することが売却準備の第一歩です。生成イラストはイメージであり実在の取引物件ではありません。
先に押さえたい結論

滞納額と売却価格の減額幅は同じではありません。入金・保証・引継ぎを整理し、現況の価格提示と解決後の見込みを費用・期間と一緒に比べましょう。解決すれば高く売れると決まっているわけでもありません。

この記事の目次

01 / SELLING WITH ARREARS

滞納があっても
売却は検討できる

賃貸中の住戸を含めて売却するオーナーチェンジでは、滞納のある住戸も含め、収益や契約条件を踏まえて購入を検討する買主がいます。ただし、物件の状況や買主の方針によっては、購入の対象外になったり、解決が契約条件になったりする場合もあります。

「家賃が遅れがち」という説明では、未収額も今後の見通しも伝わりません。いつから・いくら・どのように対応し・何が未解決なのかを資料で説明できる状態にすることが出発点です。

資料があれば問題がなくなるわけではない

滞納そのものの負担と、情報不足による不確実性は分けて考えます。資料を整える目的は、問題を小さく見せることではなく、買主と同じ前提で条件を交渉することです。

02 / BUYER VIEW

買主が確認する
3つのポイント

  1. 01

    毎月いくら入るか

    満室想定賃料・契約賃料・実入金を区別します。管理会社からの送金額は経費控除後の場合があるため、送金額だけで滞納と決めつけないことも必要です。

  2. 02

    回収と保証の見通し

    支払約束の有無だけでなく、実際に履行されているかを確認。保証会社への請求中と、代位弁済による入金済みも分けます。

  3. 03

    引継ぎ後に残る負担

    連絡・交渉、専門家費用、手続きに要する時間を整理します。退去になった場合の原状回復や再募集は、確定費用ではなく条件付きの見込みとして扱います。

ここで示すのは査定・交渉時に確認したい実務上の観点です。すべての買主が同じ評価方法や減額基準を使うわけではありません。

03 / PRICE MECHANISM

滞納額と価格の減額は
同じ数字ではない

例えば、月額7万円の住戸で6か月の家賃が全く入らず、保証等による補填もなければ、単純な未収額は42万円です。しかし、売値を42万円下げれば必ず折り合うという意味ではありません。

01 / PRICE MECHANISM過去の未収と将来の評価を分ける
過去の入金を集計

未収家賃の例

1月目2月目3月目4月目5月目6月目

月額7万円 × 6か月

42万円

入金・保証による補填・敷金充当が
いずれもないと仮定

同じ額とは
限らない
購入後の運営を評価

売却価格への影響

  • 収入今後の入金と回収の見通し
  • 負担対応費用と解決までの期間
  • 条件保証の継続と債権の取扱い

物件全体で判断

未収額だけで売値は決まらない

金額は仕組みを説明するための仮定です。実際の物件・査定・成約事例ではなく、価格下落率や将来価格を示すものではありません。

買主は、購入後にも未入金が続くのか、保証が継続するのか、誰がどこまで対応するのかを踏まえて条件を検討します。一方、入金が正常化し、その経緯と継続状況を確認できれば、将来の見通しを立てやすくなります。

価格は一棟全体の収益、立地、築年、修繕、融資条件、買主層などにも左右されます。滞納だけに一律の下落率を当てはめたり、未収額を利回りで割って価格下落額と断定したりしないことが大切です。

また、買主が提示価格に織り込んだ負担と、決済時に別途控除する未収額が重複していないか確認します。「何を価格に反映し、何を精算するか」を分けて書面に残しましょう。

04 / HANDOVER

契約の引継ぎと
未収賃料を分ける

賃貸人の地位と敷金

建物の引渡しなど、賃貸借を買主に対抗できる要件を備えている場合、売買に伴って賃貸人の地位は原則として買主へ移ります。買主がその移転を借主に主張するには所有権移転登記が必要で、敷金返還債務等も承継の対象です。賃貸人の地位を留保する合意など例外もあります。[1]

売買前に発生した未収賃料

既に発生した未払賃料の請求権は、賃貸人の地位と一緒に当然に移るものではありません。売主に残すのか、買主へ譲渡するのかを整理し、譲渡する場合は別途合意と、借主への通知等の対抗要件を確認します。[2][1]

敷金が未払賃料に充当される場合の承継残額や、保証会社が代位弁済した部分も確認が必要です。台帳の未収額をそのまま「買主に渡せる債権」とせず、請求権の所在と売主・買主間の精算を専門家と照合してください。[3]

保証会社への変更手続き

保証の範囲・上限・免責・請求期限と、所有者変更後の継続条件は契約ごとに確認します。例えばCasaは賃貸人・管理会社が変更される場合の通知書を案内していますが、この手続きだけで他社・他プランも継続できるとは限りません。[4]

確認は契約前から始める

保証契約書と請求履歴を揃え、保証会社へ継続可否・必要書類・手続き時期を確認します。売買契約では未収債権、敷金、請求中の保証金額、入居者への通知担当を明確にします。

05 / DOCUMENTS & DISCLOSURE

査定前に揃えたい
5つの資料

  1. 01

    住戸別の未収一覧

    対象住戸、対象月、請求額、入金額、残額を同じ基準日で集計。賃料と共益費を分け、係争中の金額はその旨を記載します。

  2. 02

    入金と対応の記録

    通帳・管理会社の送金明細、督促履歴、分割払いの合意と履行状況を照合。約束と実際の入金を混同しないようにします。

  3. 03

    保証契約と請求履歴

    保証範囲、免責、上限、請求期限、請求中・入金済みの区別と所有者変更手続き。代位弁済済みの金額は別欄にします。

  4. 04

    賃貸借契約と敷金台帳

    契約書・更新書類、敷金等の預り額と充当状況を整理。未収一覧と売買時の精算書を照合し、二重精算を防ぎます。

  5. 05

    未解決事項と役割分担

    交渉・訴訟の状況、費用見積もり、売買後の連絡窓口、未収債権を誰が保有・回収するかを書面に残します。

買主候補には、判断に必要な滞納状況と対応履歴を契約前に説明し、レントロール・告知書・契約書の記載を揃えます。「全戸正常入金」と誤って伝えたり、未確認事項を解決済みと扱ったりしないことが重要です。説明内容と契約条件の食い違いは紛争の原因になり得ます。責任の有無や範囲は個別の事実と契約によって異なります。[6]

初期検討では部屋番号で整理し、氏名・連絡先などの個人情報は、必要性・開示先・開示時期・適法な提供方法を管理会社等と確認して取り扱いましょう。

レントロールの作り方と確認項目を見る ↗
賃貸借契約書が見当たらないときの整理方法 ↗

06 / DECISION ROUTE

現況のまま売るか
解決を待つか

費用をかけて解決しても、それ以上の価格差がつくとは限りません。まず同じ資料を使い、現況を前提とする価格提示と、解決を条件とした価格見込みを比較します。提示の有効期限や、後から価格が変わる条件も確認しましょう。

02 / DECISION ROUTE売却の前に二つの道を比べる
  1. 01
    滞納状況を整理

    住戸別の未収額・入金履歴・対応記録

  2. 02
    保証と引継ぎを確認

    保証範囲・請求状況・所有者変更の手続き

ここで比較解決を待つ意味があるか

見通しが立たない部分も条件として残す

A / 現況のまま売る

今の条件で
買主を探す

  • 現況を開示した価格提示
  • 未収債権と対応の分担
  • 決済までの期間と条件
B / 解決後に売る

解決後を
見積もる

  • 解決までの費用と期間
  • 待つ間の収入と支出
  • 解決・価格の不確実性
価格だけでなく手残りと負担で選ぶ

二つの見積もりを同じ資料・基準日で比較

解決には入金の正常化なども含まれます。退去を前提とする図ではありません。解除・明渡しの可否は個別に法律専門家へ確認します。

比較に含めるのは、売却費用、解決に必要な支出、待つ間の賃料・管理費・利息等、最終的な残債と税金です。保有中のローン元本返済は残債を減らすため、費用として重複して差し引かないようにします。売却額だけの比較より、目的に合う選択をしやすくなります。

退去を急がせる前に確認する

家賃滞納による解除は、滞納期間だけで自動的に決まるものではありません。不払いの程度や経緯、催告、信頼関係への影響などを個別に検討します。貸主が勝手に鍵を交換したり、荷物を処分したりして明渡しを実現することは避け、管理会社や弁護士と適法な対応を整理してください。[5]

仲介と買取の違いを価格・期間・条件で比較する ↗

07 / QUESTIONS

よくある疑問

保証会社が付いていれば価格に影響しませんか

そうとは限りません。実際の入金状況、保証対象、請求手続き、所有者変更後の継続条件などを確認して判断します。保証の有無だけで価格への影響をゼロとすることはできません。

滞納額だけ値引きすれば売れますか

未収額と購入後の負担は別です。買主の価格評価、未収債権の帰属、精算方法を分けて交渉します。滞納額相当の値引きで成約する保証はありません。

解決してから査定を依頼すべきですか

未解決の段階でも相談できます。現況と解決後の二つの前提で、価格・費用・期間を比べることが有用です。法的対応が必要な場合は、売却相談と並行して弁護士等へ確認しましょう。

NEXT STEP

滞納を隠さず
現況の価格を確かめる

資料がすべて揃っていなくても、分かることと未確認のことを分ければ相談を始められます。ユナイテッド・エステートが、物件の状況と売却時期の希望を伺い、価格と引継ぎ条件を整理します。

滞納がある物件の無料査定を依頼

査定は成約や特定の価格を保証するものではありません。

参考資料と確認日

  1. e-Gov法令検索「民法」 — 第467条(債権譲渡の対抗要件)・第605条の2(賃貸人の地位の移転)等。建物の対抗要件は借地借家法第31条も参照。
  2. 不動産適正取引推進機構 RETIO 114号 116–117頁 — 東京地裁平成30年1月30日判決の紹介。既発生の未払賃料等と賃貸人の地位移転の区別を参照。
  3. 不動産適正取引推進機構「貸主の変更と借主との関係」 — 最高裁昭和44年7月17日判決の概要(未払賃料と敷金の承継)。
  4. 株式会社Casa「ご契約後の各種お手続き」 — 賃貸人・管理会社の変更通知。一社の手続き例であり、保証内容・継続条件を一般化していません。
  5. 国土交通省「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集」 — 「家賃の滞納」「追い出し行為」。解除の個別判断と自力救済の禁止を参照。
  6. 不動産適正取引推進機構 RETIO 137号 48–55頁 — 「契約不適合責任に関する実務上の諸問題」。契約内容・情報提供・責任の整理を参照。滞納の価格影響を示す資料ではありません。

2026年10月8日確認。法令・公的資料・保証会社の案内を事実確認に用い、価格評価と比較の進め方は一棟ラボの実務上の整理として記載しています。金額は説明用の仮定です。解除・明渡し・債権譲渡・精算等は個別事情によって異なるため、弁護士等の専門家へご確認ください。

NEXT ACTION

売り時を10問で整理

築年、稼働率、修繕、ローン状況などから、現在の売却検討度を匿名で確認できます。

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