一棟ラボUNITED ESTATE / INCOME PROPERTY記事一覧へ戻る

2026年10月の一棟市況賃料上昇と利上げ後の売却判断

価格を支える賃料と買主の借入条件を分けて読む

10月の売却判断では、価格と賃料を支える動きに加え、9月の利上げを踏まえた買主の融資条件を確認したいところです。一棟アパートの8月掲載価格は前月より上昇し、東京23区の募集賃料も高水準が続いています。ただし、それらは9月の利上げより前の統計です。過去の市場データと、今の個別融資の見積もりを分けて判断しましょう。

2026年10月2日時点の確認情報です。月次統計は8月分、金融政策は9月18日の決定を使用しています。全国の掲載価格と特定地域の賃料は、異なる対象のデータです。

秋の住宅街に建つ複数の一棟アパートを俯瞰したイラスト
秋の住宅街と一棟アパートのイメージ。実在する物件や地域を描いたものではありません。

OCTOBER VIEW

賃料は支えに
融資条件は再確認

一棟ラボの見立て価格の強さだけで売り時を決めない

掲載価格が高いから必ず高く売れるわけではなく、利上げがあったから直ちに値下げが必要とも限りません。所有物件の実収入と、想定買主の返済後収支が両立する価格帯を確認する月と考えます。

  • 価格:8月の一棟アパート掲載価格は9,115万円。一棟マンションは2億473万円で、種別により前月からの方向が異なります。
  • 賃料:東京23区は分譲マンション賃料と単身向けアパート募集家賃が上昇。ただし全国一律の動きではありません。
  • 融資:8月の国内銀行・新規長期貸出金利は1.999%。9月18日には政策金利の誘導目標が1.25%程度となりました。

MARKET DATA

8月の実数から
変化の方向を確認

全国の登録物件価格と表面利回り|健美家
指標7月8月前月比前年同月比
一棟アパート 掲載価格9,033万円9,115万円+0.91%+8.55%
一棟アパート 表面利回り7.91%7.89%−0.02pt−0.32pt
一棟マンション 掲載価格2億618万円2億473万円−0.70%+7.84%
一棟マンション 表面利回り7.41%7.46%+0.05pt−0.10pt

一棟アパートの表面利回り7.89%は、健美家の2008年4月の調査開始以降で最低です。一方、一棟マンションの価格は前月比−0.70%。市場全体を「一律に上昇」とまとめず、物件種別と地域を分けて見ます。[1]

掲載・登録物件の平均であり、成約価格ではありません。同一物件の価格変化を追う指数でもなく、地域・規模・築年等の構成で動きます。表面利回りは経費・税金・借入返済を差し引く前の指標です。増減率は原資料の公表値、ptはパーセントポイントです。

新規長期貸出金利1.999%前月比 +0.104pt
日本銀行 国内銀行 2026年8月
東京23区 分譲賃料5,170円/㎡前月比 +0.3%
東京カンテイ 2026年8月
アパート募集家賃16カ月連続最高値を更新
アットホーム 東京23区単身向け 8月

東京カンテイの8月分譲マンション賃料は、東京23区が5,170円/㎡で前月比+0.3%。首都圏は+0.8%ですが、近畿圏は−0.3%でした。アットホームでは、東京23区の単身向けアパート募集家賃が16カ月連続で最高値を更新しています。[2][3]

売主が確認したいのは、募集相場の上昇が自分の物件の実収入にどれだけ反映されているかです。既存入居者の契約賃料、空室募集賃料、フリーレントや管理費を分けて整理します。募集賃料が上がっても、全住戸の賃料収入が同じ割合で増えるわけではありません。

BEFORE AND AFTER

8月の統計と
9月の利上げを分ける

9月号では、日銀会合前の融資条件を記録することを提案しました。その後、日本銀行は9月18日に誘導目標を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げ、9月24日から適用しました。[5]

図解 01 データが示す時点を揃える
2026年8月市場の実績

掲載価格・募集賃料・貸出金利の対象月。9月の利上げ前の数字。

2026年9月18日政策を変更

政策金利は1.25%程度へ。適用開始は9月24日。

2026年10月個別条件を確認

買主へ提示される金利・期間・自己資金を取り直して比較。

本日公表された8月の国内銀行・新規長期貸出金利は、7月の1.895%から1.999%へ、0.104ポイント上昇しました。ただしこれは新規貸出の金額で加重平均した統計で、一棟物件向け融資に限定されません。個別のアパートローン金利や、9月の利上げの結果を示す数字としては扱いません。[4]

政策金利の上げ幅が、すべての融資へ同じ時期・同じ幅で反映されるわけではありません。変動・固定の別、見直し時期、金融機関の評価を確認します。買主から値下げの相談があれば、金利だけでなく融資期間・借入額・自己資金のどこが変わったかを聞くと、価格差の理由を整理できます。

SELL OR HOLD

判断の基準は
物件の収支と期限

図解 02 売却と保有の比較を始める目安
条件を早めに比べたい

返済や修繕の
負担が近い

借換え、大規模修繕、空室長期化、相続・納税などの期限がある。

現在の査定と手残りを確認
準備しながら検討できる

実収入と資金に
余裕がある

稼働が安定し、返済条件と修繕計画を把握できている。

保有収支と売却条件を比較

売却の推奨や将来価格の予測ではありません。期限と収支を整理するための目安です。

売る場合は、価格だけでなく決済時期と残債・費用・税金を差し引いた手残りを確認します。保有する場合は、実際に受け取れる賃料から管理費、修繕、金利などを考慮します。比較の前提を揃えることで、「価格が高いから売る」「賃料が上がるから待つ」という判断を具体化できます。

売却手残り計算で売却側を整理し、無料会員の資料作成ツールでレントロール・修繕履歴・写真台帳を整えると、査定時の説明にも使えます。

OCTOBER CHECKLIST

今月は三つの条件を
同じ資料で聞く

  1. 01

    想定買主の融資条件

    金利・融資期間・自己資金・評価額を確認。会合前の提案があれば、同じ物件条件で差を比べます。

  2. 02

    現況収入で成立する価格

    満室想定だけでなく、実際の入金と費用で価格の根拠を確認。賃上げや空室解消の見込みは実績と分けます。

  3. 03

    期間を含めた売却手残り

    仲介と買取も必要に応じて比較。売却費用、残債、税金、引渡し条件まで揃えて判断します。

方法を迷う場合は、仲介と買取の比較記事も参考にしてください。次号では、9月対象の価格・賃料・貸出金利の公表状況と、次回の日銀会合での決定を確認します。データの未公表部分を推測で補いません。

OCTOBER CONCLUSION

最新の融資条件で
自分の一棟を確かめる

8月の賃料と価格の動きは参考になりますが、売却の結論は物件ごとに異なります。最新の収支資料と買主融資を基に、現在の価格帯と保有を続ける場合の違いを整理しましょう。

10月の売却条件を無料相談

出典と対象月

以下は2026年10月2日確認。全国の登録物件価格、国内銀行の貸出金利、特定地域・種別の募集賃料を、同じ母集団の統計として合算しません。

  1. 不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 2026年8月期市場動向:9月9日公表。全国登録物件の価格・表面利回り。前月比・前年同月比は原資料の公表値。
  2. 東京カンテイ 2026年8月分譲マンション賃料:9月16日公表。分譲マンション賃料の指標で、一棟アパート全体の賃料ではありません。
  3. アットホーム 2026年8月募集家賃動向:9月28日公表。東京23区・30㎡以下のアパート。家賃は賃料と管理費・共益費等の合計。最高値は2015年1月以降。
  4. 日本銀行 貸出約定平均金利 2026年8月:10月2日公表、1頁の新規・長期・国内銀行。長期は期間1年以上。差は1.999−1.895=+0.104ポイント。一棟融資専用の金利ではありません。
  5. 日本銀行 9月18日の金融市場調節方針:1頁の誘導目標と適用開始日。政策金利と個別の借入金利は異なります。

この記事の売却判断に関する記述は一棟ラボの解釈です。個別の成約価格・融資承認・将来の賃料を保証しません。

NEXT ACTION

今月の融資環境で現在価格を確認

賃料、築年、稼働率、修繕状況を基に、現在の買主融資まで踏まえた価格帯をご説明します。

無料売却査定を始める